論文として採点するなら落第、史料収集の熱意で辛うじて可
結局、何を言いたいのか分からない、というのが率直な読後感。
本書の目的はまさにfoundationとしての女性下着からその上にまとう衣服、さらにはその
時代の文化、風俗を描き出すことであったはず。しかし、その目的が果たされたとは
言いがたい、それどころか、そもそもそこを目指して書いていたのかすら疑問。
ヴィクトリア朝における女性周辺の史料を集めてはみたものの、そこから何を明らかに
したいのか、いかなるストーリーを読み取りたいのか、そうした点がはっきりと見えないが
ために、ただのサンプルの羅列に留まって、具体的なコメントにすら苦慮してしまう。
そのわりに、それって自明のことなのか、と首を傾げてしまうような仮説がさらりと文中に
書き込まれている状態。
それこそ雑誌のルポルタージュなら辛うじてありかもしれないが、論文としてはもはや体を
なしていない、と言わざるを得ない。
下着から社会を見る
ヴィクトリア朝時代の女性下着についての、細かく解説しながら変遷を追っていますが、単に下着の話に終わらずに、そこから見えてくる当時の世相を描いています。当時の女性雑誌などを資料としているので、イメージとしては、カルスタ的歴史学、といったところでしょうか。著者の修士論文を土台にした本のようですが、難しい議論が続くのではなく、いろいろな関心から切り込まれているので無理なく読めます。ヴィクトリア朝も、遠い昔というよりは、今も昔も女性雑誌が読まれているのは変わらない。そうした筆者の考えが見えるようで、全体的に身近な雰囲気になっているのかなと思います。
スカートの下
ヴィクトリア時代の下着についてわかりやすく書いてあります。
欲を言えば、文章での説明だけでなく画像をもうちょっと
入れてくれたらわかりやすかったかな。
ヴィクトリア時代を女性の下着という観点から迫った社会心理学
副題にヴィクトリア朝の社会史とあるように、当時の社会通念や常識、女性感、美人論、世調などを下着という一番肌に近い”服”から見渡した1冊。著者戸矢氏は東大文学部社会心理学科で、心理学出身らしく、当時の広告や記事や日記等からの心理分析が中心。分析対象はクリノリンの最盛期からバッスルスタイル後期までの約40-50年間。コルセット、ペチコート、ブルマー、ドロワース、ブラジャー、オールンインワン等、数々の誕生の背景や意義、変遷等を当時の銅版画(おそらく広告挿絵)や広告記事、当時の識者の意見や有名人の日記等から細かく紹介。特に女性誌におけるコルセットはするべきか否かの女性による論争は面白かった。既に現代同様の女性誌がたくさん出版されていてびっくり。 美へのあくなき追求から伺える女性心理、当時のモラル、女性意識の変遷など、下着という存在から様々な19世紀の女性の存在がリアルに浮かび上がってくる1冊でした。難点としては、一章ごとの内容はよく出来てるのだけど、全体としてはまとまりがなく、散文的な所が多々ある事。あれも、これも、という感じなのでもうちょっと整理されて練れていたら、5つ星つけたかったです。著者が27歳の時の本だから仕方ないかもしれませんね。
講談社
図説 ドレスの下の歴史―女性の衣装と身体の2000年 コルセットの文化史 アントワネットの贈り物―女性の下着のないしょ話 パンツが見える。―羞恥心の現代史 (朝日選書) 図説 ヴィクトリア朝百貨事典 (ふくろうの本)
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