まあ読んでみたまえ
吉田司氏はこれで大宅壮一ノンフィクションを受賞した、と帯にあります。 実質的なデビュー作であり、吉田氏のこの後の著述活動の原点なのでしょう。とにかく圧倒されるのは、取材対象(といっていいものかどうか?)に対する没入の仕方が生半可ではありません。 若い患者の『運動』を支援するためとはいえ、地元の人間からもあらゆる偏見・貧乏という理由で忌み遠ざけられている患者達と正に全身全霊のやりとりを若き吉田氏は行っていきます。 同じ言葉を使い、同じ釜の飯を食い、自分の寝床を彼らに解放して・・・。 そうして聞き取った彼らの叫びは彼らの語った言葉のママ、訛りもどもりも全てそのまま記録されています。 だから最初は少し読みにくいかもしれません。 ただ水俣の若い患者が直接魂から雄叫びをあげているような臨場感があって、こんなモノを読んだことがありません。 患者の一人が恋人にふられた後で書いた直筆の手紙が、直筆のまま掲載されていますが、こんなに心が震えるような文章を人間がかけるのかと思います。 でも、ま、ぶっちゃけていうと、若い水俣病患者でも恋をする、ってのが一番の読ませどころですかね。 恋愛ドラマのさなかでは吉田氏は完全に狂言廻しの役目を引き受けております。ちょっとニヤリとするとこも多いですよ。 当時の吉田氏は・・・20代前半・・・! これほどまでに『書く』ことを宿命的に引き受けている人が多ければ、ジャーナリストとやらも少しは信頼できるのに。
白水社
ひめゆり忠臣蔵 ドキュメント 戦争広告代理店 (講談社文庫) 星新一 一〇〇一話をつくった人 あの戦争から遠く離れて―私につながる歴史をたどる旅 山谷ブルース (新潮OH!文庫)
|